banner icon

検査室ブログ

Blog

2023.12.2~3 日本性感染症第36回 学術大会に参加しました。

日本性感染症学会における年に一度の大イベント、学術大会が東京の学術総合センターで開催されました。

 

今年は『性感染症から人々を守るために』というテーマのもと、全国から性感染症に携わる医師を中心に、性感染症対策に熱意を持った医療関係者が一堂に会して様々な講演が行われました。

 

感染拡大が社会問題化している梅毒に関する演題は、多数の参加者を集め、熱気のこもった質疑応答が繰り広げられました。
数年前は、未知な部分が多かった梅毒も、疫学、細菌学など、様々な角度から分析され、解明されてきている印象が強かったです。
そして、梅毒が大流行している今、その流行に後れてやってくる問題として、先天梅毒が大きくクローズアップされていました。
母体が梅毒に感染している場合、お腹の赤ちゃんに感染が及ぶことがあります。
基本的に梅毒は治療が可能な感染症ですが、この先天梅毒では、死産、早産、新生児死亡のリスクがあると共に、非常に重篤な先天異常が生じる可能性があります。
過去のデータから、梅毒流行のピークに遅れて先天梅毒が増える傾向が示唆されています。
特に20代前半の女性の感染者数が非常に多い現在の状況も考慮すると、先天梅毒の増加が強く懸念されています。
妊娠を望む場合、パートナーと協力して、感染に対し細心の注意を払うこと、そして、心配な人は検査を受け、陽性であれば適切な治療を受けることが重要です。
梅毒は『隠れる』のが上手な病原微生物ですので、本人が感染に気が付かないケースも存在します。
感染拡大に歯止めをかけるためには『もしかして・・・』という方が漏れなく検査を受けることが重要です。

 

日本性感染症第36回 学術大会