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HPVワクチン接種の積極的勧奨が再開されます。

2021年11月26日、厚生労働省からヒトパピローマウイルス感染症の定期接種個別勧奨を再開するという通知が発出されました。

 

HPVワクチンは2013年4月に公費で受けられる定期接種の対象となりましたが、ワクチン接種後にワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛を訴える人が相次いだため、同年6月、定期接種の位置づけは変えずに積極的な個別勧奨は差し控えるという通知が発出されました。

その後、継続的な議論が行われ、8年という年月を費やしてようやく改めてHPVワクチンの安全性に特筆すべき懸念はないことが確認され、接種による利益が明らかに副反応のリスクを上回ると認められたため、2022年4月からHPVワクチン接種の個別勧奨を再開することが通知されました。

 

HPVワクチンは世界的にみると多くの国で非常に接種率が高く、接種率が低いと指摘されるアメリカでも60%程度です。それに対し、日本の接種率は1%にも満たない状況となっています。

この事態に、日本性感染症学会員の先生方も警鐘を鳴らし続けていました。そしてようやく積極的勧奨が再開されたことに対し、学会理事長の三鴨先生が声明を発表し、この通知に歓迎の意向を表すとともにワクチン接種体制のさらなる充実とHPVワクチンが普及するように努める意思を表明しております。

HPVワクチンは子宮頸がんなどのHPVに関連するがんの予防につながるだけでなく、性病である尖圭コンジローマの予防にも効果があります。

 

日本性感染症学会の一員として、我々もHPVワクチンの普及に尽力するとともに、このHPVワクチンをめぐる8年間の混乱の中、接種の機会を逃した方々の中にいらっしゃるであろうHPV持続感染者が将来的に進行がんとして見つかる事態だけは絶対に避けなければならいという強い想いでHPV検査の普及啓発に邁進する所存でございます。