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検査室ブログ

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淋菌感染症にご注意ください。

厚生労働省と国立感染症研究所による感染症発生動向調査の感染症週報2022年第2号において性病についての定点医療機関からの2021年12月分の報告数が発表されました。

医療機関における感染症の報告は、性病のなかでも全数報告されるものと、全国の指定された医療機関からだけ報告されるものがあります。梅毒は前者の全数報告の感染症ですが、性器クラミジア感染症や淋菌感染症は後者に該当する性病です。

全国約1,000か所の性感染症定点医療機関から毎月報告される報告数を集計した数字を基にその推移を比較して感染症の予防対策などに活用されています。

過去5年間の同時期と比較した2021年12月の報告数では、特に淋菌感染症が男女ともにかなり多くなっていて注視する必要がある状態です。

性病としての淋菌感染症の主な感染部位は咽頭と性器です。咽頭の淋菌感染と女性の性器感染では、自覚症状に乏しい症例が多いです。咽頭の淋菌感染症では軽い風邪の時に感じるのどの違和感程度のケースも多いです。これに対し、男性の性器感染では症状が顕著だと思われがちですが、近年では男性でも自覚症状に乏しい症例も増えていますので注意が必要です。

淋菌感染症は薬剤耐性化が進行していて、確実に効果が見込める薬の種類が減ってきていることが問題となっています。淋菌の薬剤耐性化のメカニズムは、咽頭淋菌の不完全な治療によって死に損なった淋菌が、口腔内に常在する近い種類の菌から遺伝子をもらうことによって耐性を獲得しているという説があります。

淋菌の厄介な薬剤耐性化を進行させないためにも淋菌感染症の感染拡大を防止するとともに、感染してしまったら完治までしっかり治療することが大切です。

 

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